大砲とスタンプ
大砲とスタンプ(たいほうとすたんぷ)は、速水螺旋人による漫画である。講談社から刊行されている雑誌「モーニング・ツー」にて2011年1月22日発刊の42号から隔号で連載中。なお、2011年12月に単行本も1巻上梓している。
なお、この物語は兵士が畑で収穫できる、もしくは、もはや物量作戦とすら言いたくないで有名なソビエト連邦の軍隊について触れているため、東側の軍隊の情報に餓えているごくごく少数の人々にとっては大変に興味深い作品である。もっとも、あくまでも架空の世界についての話である。
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[編集] 概要
この物語は、数ある戦記漫画史上初めて兵站を主軸にして語る作品である。そのため、前漢の初代皇帝劉邦配下で最大の功臣とされる蕭何やベトナム戦争において米国を敗走せしめたヴォー・グエン・ザップ将軍とホーチミン・ルートの偉大性、さらにはローマ帝国の異常なる輸送能力の根本となったローマ街道に耐えがたき美しさを感じるごくごく少数の人間にとって、待ちに待った作品である。
まぁ、インパール作戦における牟田口廉也に怒りと絶望を覚える人間も対象に含むことはできる。それぐらい、兵站や後方支援といった要素は、戦争を大きく左右する。
もっとも、兵站を主とする以上、内容がマニアックな方面に特化していくのは仕方なく、語られている内容は、ごく一般的な兵士の日常風景や後方支援体勢の構築が主である。なお、1話につき1つだけ作者の趣味であるびっくり兵器を掲載する遊びがあり、民明書房と同じ視点で作品を楽しむことができる。あわせて、作品の肝にあたる重要な表現であるため、どこぞの空気読めないウィキなんとかと違い、アンサイクロペディアでは絶対に説明しない。
[編集] ストーリー
大公国軍所属の女性少尉マルチナ・M・マヤコフスカヤは、黒海沿岸のロストフ・ド・ナヌ・・・かもしれない都市にて、主に物資の補給や輸送など、軍隊における後方支援を担当する兵站軍に所属している。そこは別名、紙の軍隊と呼ばれ、軍内部のヒエラルキーの中では最下層。犬より下。もっとも、どこぞの日本軍でも、兵站担当を軍と呼ぶならば、蝶々やトンボも鳥のうちという戯れ歌が存在したように、どうしても命の危険が少ない後方での活動がメインとなる職場は、軍内部では白眼視される運命にある。
けれども、そんな部署だからこそ女性も積極的に登用できるという利点があり、また、女性でありながら士官という軍隊内部では神様に等しい地位を与えられることも事実である。そのため、第1話にして彼女は現在の所属であるロストフ・ド・ナヌみたいな都市から、黒海のはるか向こうに存在する、ドニプロ川流域にあるドニプロゼルジーンシク市・・・みたいなアゲゾコ市にあるアゲゾコ要塞へ行くことになる(なお、現実に存在する2つの都市については、あくまでも、作中においてその場所らしきところに印がついていたためピックアップしたものである)。これは、士官学校上がりで二十歳そこそこの女性にとってはエリートコース以外の何物でもない。
ただし、アゲゾコ市は2年前から続く大公国軍&帝国軍Vs共和国軍の戦争において占領された地域であり、住民感情が定まらない中でテロ行為が頻発しており、あわせて、そこかしこの軍隊でよーく見られるように軍内部も汚職や不正にまみれ、それにあわせるように前線でも嫌戦感情がちらほらと散見されている。もっとも、まだ開戦から2年しか経っていないため、特に戦線が混乱するといった話は出ていない。そんな状況の中に、クソマジメ一辺倒のマルチナ少尉が投げ込まれたことから、組織内に徐々に変化が現れることになる。
・・・徐々に?違うな。どう考えても、劇薬もしくは劇物を投入したレベルで一気に変化が訪れることになる。
なお、作品内には、数多くのこれはない、これはどうかと思われる描写があるけれど、全て「でも、ほら、ソ連軍だから」の一言で済ませられるものである。そもそも、日本やプロイセンを常識と考えると、世界中の軍隊がおかしくなってしまう。
[編集] 登場人物
この項目では、ネタバレを最低限に抑える形で登場人物を記載する。
- マルチナ・M・マヤコフスカヤ
- 「責任問題ですよ?」
- この物語の主人公。アゲゾコ要塞補給廠管理部第二中隊所属。階級は少尉。一般家庭に生まれ、いい加減なことが嫌いという理由で、士官学校に入学するほどの堅物。ただし、学費無料でもあったことも大きな原因であるが、いかんせん、戦争直前だったんだから親も止めりゃいいのに。もっとも、学校の同期の中で最も早くに前線に近い部署へと送られたことから、かなりの能力を保持しているものと思われる。もちろん、デスクワークにおいてのみ。戦闘能力については、言わずもがな。
- その性格はクソマジメにして義理堅く、さらに残念なことに調子こきの一面も持つ。いわゆる一つの委員長タイプ。かもしれない。確かに、メガネはつけている。なお、新任早々に兵站軍内部の汚職を告発し中隊の上司の命を危機にさらした後、さらにその上であるアゲゾコ要塞の上司を告発することで中隊の上司の命だけ救う。その結果、赴任早々の若造にしては奇跡的、ありえないレベルで隊内部の尊敬及び要塞内部での悪名を勝ち得ている。訂正、確実に委員長タイプ、ではない。
- その結果、要塞内部でついたあだ名が「突撃タイプライター」。まさに、言いえて妙。
- また、女性主人公でありながら平気でタバコも愛用、出勤時にはスクーターで移動し、トラックも普通に運転するなど、士官として当たり前な能力をすでに保持している。
- でも、兵士としては絶対に必須である拳銃の取り扱いについて失念していた。
- 安全装置を外さなかった。
- 弾込めも忘れていた。
- 安全装置を外し、弾も込めたのに、撃とうとした相手が、戦車だった。
- このように、本来命の危険などあるわけがない兵站軍にありながら、やけに危機一髪の状況に見舞われている点については、本人の責任が40、運の悪さが60といったところである。
- ちなみに、好きな食べ物は懐中汁粉。むしろ、好きを通り越して愛してさえいる。そのわりに酒にも強く、ロシアの女性がある一定の年齢に達すると急激に膨張する理由の一端を垣間見ることができる。
- 実は貧乳である。
- スタンプ
- この物語のマスコット。第1話において、アゲゾコ市へ輸送される医薬品の中に、なぜか潜り込んでいた生物。
- この作品内ではイタチモドキと呼ばれているが、どう見ても長猫にしか見えない。
- その形態は複雑怪奇で、まず足は八本、毛はフサフサ。耳は長く、豹柄で狐のような毛並みを持ち、その上、尻尾の先はタヌキのように黒いなど、詰まるところ、なんの生物だかさっぱりわかんない。
- ただし、作中において主人公の命を何度も救っており、それなりに愛されている。名前の由来は、主人公が中隊に赴任した直後にインクのビンをこかして足跡を書類にペタペタとつけたことからスタンプと呼ばれるようになる。もっとも、某●連軍らしく、別に問題にされることもなく、その後も主人公のデスクワークの合間を縫ってペタペタと。
- ただ、第1話で主人公の顔面に飛びついた際に、股間を押し付けた件については問題にされており、海のモクズ一歩手前まで行っている。
- 多分、医薬品におしっこをかけた後だったのがまずかったのだろう。
- キリール・K・キリュシキン
- マルチナの上司にして第二中隊副官。階級は大尉。突撃タイプライターの暴走に毎度毎度手を焼く苦労人。
- 生まれが超有名な軍人一家で、父親が上級大将。ただし、本人は自らの希望で兵站軍と、明らかに家族の中で浮いた存在である。実際、軍才よりも文才にすぐれており、ひそかにSF雑誌に作品を投稿。
- もっとも、職場内ではバレッバレ。ペンネームまで知れ渡っている。
- ボイコ
- 歴戦の勇士。階級は曹長。以前は陸軍に所属しており最前線で共和国軍とやりあっていた。その後3つの勲章をもらった後、左目を失ったためデスクワークが主の兵站軍へと飛ばされた、と思われる人物。既婚。実際、その戦闘力はほとんど衰えておらず、作中においても数多くの死地や暴力沙汰を切り抜けている。
- アーネチカ
- ボイコとともに兵站軍の暴力を司る女性。階級は兵長。ボイコ曹長とたった2人で陸海軍の兵士が乱闘する酒場から、副官と新任の少尉の脱出を援護している。あわせて、その際に外で待つのがいやだからと、空軍の兵士を引っ掛けてベッドで暖を取るレベルのツワモノである。ただし、兵站軍でありながら字が読めないため、いつもデスクワークでは人の世話になっている。
- 中隊長
- アゲゾコ要塞兵站軍第二管理部の責任者。大事なときにいつもいない。てゆうか、作中に出てこない。
[編集] 作中における基本的な情報
この作品は、あくまでも架空戦記であり、見たことのある地図に見たことのあるようなないような名前の人々が、戦争と呼ばれる一つの社会生活の中で、七転八倒右往左往する様子を眺める物語である。しかし、元ネタであるソ連の知識や、作中に見られるいくつかの言葉についての予備知識を仕入れることで、なおさら作品を楽しめるのも確かである。そのため、この項目ではそれらについてあくまでも邪魔にならない程度に説明する。
[編集] ソ連軍の知識
この件については、心の底からウィキペディアにおける該当ページ及び関連ページを参照ください。正直、説明したくないです。
なんせ、いくら第二次世界大戦の時代だったとはいえ、人口2億人の国の中に軍人が2000万人いる段階で、何かがおかしい。そのうち、半数が死んだとされる件については、もはやおかしいと思うことを放棄したくなるレベルである。実際、ウィキペディアの関連ページをたどればたどるほど、どうしようもない現実が襲い掛かってくる。
とりあえず、「だって、ほら、ソ連軍だから」という説明は、この作品内においてどんなに矛盾が生んだとしても、その上を行く。軽く行く。
[編集] 国家
この作品には3つの国家が登場している。まず、主人公が所属する大公国。首都はMOSKVA。次に、大公国と同盟を結んでいる帝国。首都はKRAKOW。最後に、敵対している共和国。首都はTSARGRAD。まあ、ぶっちゃけ、ソ連とその首都のモスクワ、ポーランドが王国だった時代、首都だったクラコフ、そしてオスマン・トルコとその首都イスタンブールが現在、地名として登場している。
ちなみに、TASRGRADとは、ツァーリグラードと読み、皇帝の町という意味である。これは、ロシアが東ローマ帝国の後継者であるとの主張により、ロシア語(スラブ言語)ではその首都について、古来からの呼び名をそのまま使用し続けている。実際の歴史では、東ローマ帝国の首都であるコンスタンチノープルはオスマン・トルコに征服された直後にイスタンブールに改名されている。
[編集] 政治体制
この物語は、一応は石油文明真っ盛りの時代で、電子機器なども普通に使われ、ソニー製と見られるトランジスタ・ラジオまで登場することから、現代で換算するなら1950年代以降の話だと思われる。しかし、帝国や大公国といった表記のほか、西方には爆撃機を輸出するような王国まで存在しているため、政治制度に関しては、もろに18世紀。もしも、ナポレオン以前の欧州に近代兵器と近代的な商工業が生まれていたら、という考えで世界設定が為されているという感覚が近い、と思われる。
平たく言えば、超大規模な戦国自衛隊である。もしくは、シヴィライデージョン4における超特化型プレイ。なお、一応、選挙制度は存在し議会も存在しているため、専制政治や封建制はとっくに終わったものと思われる。
[編集] この作品の世界観について
この作品は、あくまでも架空の世界における戦争を扱った物語である。そのため、作中にいくつかの矛盾や謎、突っ込みどころが存在し、作中においてそういった矛盾についての埋め合わせを行ってはいない。あくまでも、大きな世界観に振り回される主人公たちを主軸においている。
そのため、軍事部門では石炭が機関車に使われている世界で、ロケットや電子機器が普通に登場し、文化面では、電話やタイプライターが使用されているにも関わらず、そろばんが出てくる。
てゆうか、要塞内部の床材のほとんどが木。すべからく、燃えやすい素材である木。
・・・だから、こういった状況にも通用する悪魔のような言葉が存在する。だって、ほら。ソ連軍だから。この一言で、様々な矛盾が一瞬のうちに吹き飛ぶのは、それだけ現実のほうがとんでもないからである。ちなみに、作中において督戦隊はまだ出てこない。出てきたらどうしよう。
[編集] 至言
曲がりなりにも戦争を描いた漫画であるため、そこかしこに至言が見え隠れする。戦争という一つの事象が、ドンパチしている最前線だけで行われていると考えてはいけない。
- 素人は戦術を語り、玄人は戦略を語り、プロは兵站を語る。
- 「一番有能な軍隊よりいちばん無能でない軍隊が勝つ」「・・・軍人一家の教訓ですか?」「小説で読んだ」
- 「書類で戦争ができるか」「書類で戦争をしてるんですッ」