8.24の悲劇 (野球)

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8.24の悲劇(はちてんにーよんのひげき)とは、Wikipediaにおける幽霊項目の1つである。

概要[編集]

Wikipedia
ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「8.24の悲劇」の項目を執筆しています。

記事の内容は、2008年8月24日に、東北高等学校(宮城)が横浜高等学校(神奈川)に対し9点リードの9回2死無走者から逆転負けを喫したという試合の経過[1]を記したものである。しかし、この記事の初版は記事中の試合日よりも前の2006年4月1日であり、明らかにこの試合は架空のものであった。4月1日に執筆されたこともあって、「削除された悪ふざけとナンセンス」の一項目として保存されることとなった。

Wikipedia:削除された悪ふざけとナンセンス」の指針に紐付けられた「Wikipedia:幽霊項目」から引用すると、「あまりに滑稽な内容の記事でもユーモアのセンスがあれば(中略)保存される」こともあるという。よって、当時のWikipedia管理者は、当該記事の中に何らかのユーモアを見出したということになる。

ところが記事「8.24の悲劇」は架空の試合経過を淡々と述べただけの内容にとどまり、一見すれば何が面白いのかわからない内容となっている。どれほど面白くないかは当該記事を参照されたい。

しかしながら、ユーモアがあることを理由にこの項目が保存されていることは紛れもない事実である。当該記事の何がユーモアであるのかに関しては、様々な説が提唱されてきた。

学説[編集]

「8.24の悲劇」の面白さに関しては、以下のような説がある。

逆転の非現実性[編集]

野球において、2死無走者からの得点確率は約6%であり[2]、その状況から9点差をひっくり返すことは不可能に近いと推察できる。そのことから、「9回裏2死無走者から10得点でサヨナラ」という描写が非現実的・漫画的な面白さを生み出していると捉えることもできる。

しかし、このような状況が本当に非現実的であるかについては議論がある。2002年夏の大分県大会2回戦、緒方工業高等学校対中津北高等学校の対戦は、次のようなスコアとなった。

1 2 3 4 5 6 7 8 9
緒方工業 0 0 1 0 1 3 2 0 7 14
中津北 0 1 0 0 0 3 1 0 10X 15

9回裏、中津北高校は先頭の2打者が倒れるものの、四球やエラー絡みで2点差に迫り、最後は3点適時二塁打で勝利を収めた。

こうした例を踏まえれば、「8.24の悲劇」に記された試合内容は現実的な想像の範疇を超えるものではないとも考えられる。ただし、緒方工対中津北の対戦は豪雨のなか行われたものであるため、特殊なケースとして考えるべきだという主張もある。

「白河の関」の壁[編集]

東北地方甲子園の優勝旗が渡っていないことは、2020年現在も事実である。このことは「優勝旗が白河の関を越えられない」というジンクスとしても有名であり、東北勢が悲劇的な負け方をするという「8.24の悲劇」の内容はこれを揶揄したユーモアであると考えることができる。

しかし、高校球児の敗北をユーモアとして扱うことが妥当か否かについては議論が分かれる上、甲子園において東北勢が悲劇的な敗北を喫した試合も実際に発生している。

  • 2015年夏の決勝・東海大学付属相模高等学校(神奈川)対仙台育英学園高等学校(宮城)の試合では、同点で迎えた9回表、東海大相模が9番打者・小笠原慎之介(現中日)の本塁打を皮切りに一挙4得点を挙げてそのまま勝利した。
  • 2016年夏の2回戦・八戸学院光星高等学校(青森)対東邦高等学校(愛知)の試合では、光星が一時7点をリードしながら、最終的には東邦が9回裏に一挙5点を奪いサヨナラ勝ちを収めた。9回裏の攻撃の最中、甲子園球場は光星応援席を除きほぼ全体が東邦の逆転を応援する雰囲気となっており、サヨナラを献上した光星の投手は「周りみんなが敵に見えた」と語った。ただ単に打ち負けるよりも精神的に堪える状況であったことは、想像に難くない。

このように「白河の関」のジンクスを体現するような試合はそれなりの頻度で発生しており、それにちなんだ架空の試合記事を投稿したところで面白いのかどうかについては大きく議論が分かれる。

継投の失敗[編集]

「8.24の悲劇」の記事中には、東北高校が3人の好投手を擁していた旨が記されている。しかしながら、詳らかに記載されている9回裏の試合経過の中に、東北が投手交代を行ったという描写はない。東北は8回まで横浜を無失点に抑えていることから、東北の監督は10失点するまで1人の投手を投げさせ続けたと考えられる。

これは明らかな采配ミスであり、広島緒方孝市元監督の度重なる采配ミスなどがインターネット上で面白おかしく扱われていることに鑑みれば、東北高校の采配ミスをユーモアだと捉えることはさほど無理のないことだと考えられる[3]

しかし、こちらもとある実例を基とする反対意見がある。

2004年夏の3回戦・千葉経済大学附属高等学校(千葉)対東北高等学校の試合において、東北はエースのダルビッシュ有を10回表も続投させるが、千葉経大附に勝ち越しを許してしまう。そこでダルビッシュは降板し、こちらも好投手である真壁賢守にスイッチするが、悪い流れを止められずダメ押しの適時打を打たれ、試合はそのまま千葉経大附の勝利に終わった。

このような試合が「継投の失敗による東北勢の敗退」として語られているわけではないにも関わらず、「8.24の悲劇」が継投失敗のみでユーモア性を認められているのはおかしい、という意見である。

現実との繋がり[編集]

当該記事は2006年に執筆されたものであり、2年後に行われた実際の第90回全国高等学校野球選手権大会(以下「第90回大会」)と記事の内容に一致があれば、予言的な記事として十分に保存に値するものといえよう。

実際の第90回大会を検討すると、東北高校は宮城県大会の決勝で仙台育英高校に敗れているものの、横浜高校は南神奈川代表[4]として本大会出場を果たしている。この時点で、記事「8.24の悲劇」は横浜高校の本大会出場という事実を的中させていることとなる。

さらに驚くべきことに、本大会3回戦にて仙台育英高校と横浜高校の対戦カードが組まれ[5]宮城県勢と神奈川県勢の対戦が実際に実現することとなった。またその試合は、9回表に横浜が勝ち越したことで勝利を収める結果となり、9回の攻防によって勝敗が決するという点まで記事と一致している。

以上の事実から、「8.24の悲劇」は「瓢箪から駒」的な面白さを見込まれて保存されているのではないかという説も存在する。しかし、当該記事が管理者によって「削除された悪ふざけとナンセンス」に指定されたのは初版投稿後わずか39分後のことであり、この説が正しいとするならば、管理人に2年後の甲子園の結果を察知する能力が備わっていることになる。これには物理学上の観点から批判が出ているが、上記の事実が偶然の一致の範疇を超えていることから、現状の最有力説となっている。

なお、実際の第90回大会の決勝は大阪桐蔭高等学校(北大阪)が常葉大学附属菊川高等学校(静岡)を17対0で下すという試合となり、決勝にあるまじきスコアからこちらの方がよほど面白いという指摘もある。

余談[編集]

当該記事を投稿したIPユーザーは、同日に「ヘルシンキの悲劇」という記事も投稿している。サッカーブラジル代表がフィンランド代表に0対5で敗れるという内容であり、初版の面白さは「8.24の悲劇」に劣る。むしろこのようなどうしようもない記事が執筆されたことの方が悲劇であろう。

脚注[編集]

  1. ^ 9回裏の一部分のみ。
  2. ^ 2004年から2013年NPBを対象とした統計による。
  3. ^ ただし高校野球はプロ野球に比べてベンチ入りできる人数が少なく、その分采配の幅も限定されることに留意すべきである。
  4. ^ 記念大会のため、神奈川県などの出場枠が拡大されていた。
  5. ^ 仙台育英が菰野高等学校(三重)と福井商業高等学校(福井)に、横浜が浦和学院高等学校(埼玉)と広陵高等学校(広島)にそれぞれ勝利した結果。