UnBooks:探偵をヤれ
出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
ある国の、静まり返った暗い深夜の漁港。その近くの工場団地に、いくつもの大きな倉庫が並んだ場所があった。いつもならこの時間には人はいない。だが今宵の満月、その不気味な月光の下で、何もないはずがない。今まさに、三人の男の威信を賭けた鬼ごっこが勃発していた。
「クッソ!しつけー野郎だぜ!一度ならず二度までも!」
黒ずくめの男二人が、倉庫の中を何者かから逃げ回っている。彼等は違法密輸グループの運び人だ。今は頭のハゲたベテランがヤクシマザルを抱き、まだフサフサの新入りが後ろを気にしながら何者かが追いかけてこないかを気にしている。二人は通路の角を曲がると、物陰に隠れて様子を窺う。すると、自分達が走っていたすぐ傍を何者かが横切ったのが見えた。二人が隠れている所から少し離れた所で立ち止まる。
「ここにいるのはわかっている。出てこい!」
二人を追い掛けていた男が毅然とした態度で言い放つ。彼は二人を二ヶ月前から追っていた私立探偵であり、組織の危険性を見抜いた彼は、決定的な証人や証拠を集めるために各地を奔走していた。そんな時に彼等の情報を耳にし、一度は取り逃がしたものの、今は二人を追い詰めている。
「ハア、ハア・・・お前、コレは持っているか?」
ハゲた男が手でピストルの形を作る。いや、作ろうとしたが疲れていたので、親指が曲がってしまった。
「!?いや、そりゃあもちろん持ってますよ・・・一応(男だし)」
新入りは明らかにピストルを別のピストルと勘違いをしていた。勘違いしたまま、話は進む。
「(新入りとはいえ、一応コイツも組織の一員だしな。)安心した。俺はこの猿を次の運び屋に渡す。お前はそれで探偵を殺れ・・・!」
「な!!俺のモノで探偵を、犯れですって!?出来ませんよそんな事!!」
「・・・今更何を言ってるんだ?お前はそんな覚悟も無しにこの組織に入ったのか!こんな業界だ。運び屋だってな、殺らなきゃならない時があるんだ。」
「だからってそんな・・・犯る必要は無いでしょ!」
「新入り!・・・二度も同じ事を言わせるな。組織の掟にもあるんだよ。殺る時は殺るってな・・・」
「(犯る時は犯るって、とんでもない組織だなオイ)でも、俺は・・・そんな事・・・そりゃあ相手は女や子供じゃありません。でも、そんな酷い事・・・!!」
「そう、女や子供は殺らねえ。それも組織の掟だ。だが相手は男で、俺等は充分悪人なんだ。見ろ、この無垢な瞳を・・・こいつを商売道具にしているのが密輸という仕事だ。ここで探偵を殺ろうが殺るまいが、どっちにしろ俺等は悪人なんだ。その事に変わりはねぇ。後戻りはできねえ!」
「くっ!・・・・・・わかりました。でももしもの事も考えられますぜ。まずは俺が前に出て注意を引き付けます。先輩はその隙に。俺、犯ります!!」
「へっ、よく言ったとは言わねえぜ。なんたって悪行だからな。」
新入りはゆっくりと探偵の前に立ちはだかる。ベテランはその隙に逃げるが、探偵の注意が完全に新入りに向いているので気が付かない。
「もう一人いるはずだ。何処に」
「俺はお前をやれと言われた。」
探偵が銃を構え、圧倒的不利な状況にも関わらず、新入りが唐突にさえぎった。
「でも、やっぱり駄目だ。俺にはそんな事は出来ねえ・・・!!」
新入りは後ろを向いたまま、嗚咽を堪えながら泣き出した。歯をむき出しにし、金欲しさにとんでもない組織に入る事を選んだ過去の自分を呪った。同情したのか、探偵は銃を下ろした。
「犯るくらいなら、犯られる方がマシだー!!」
新入りはそう言って、ズボンをパンツごと足元まで一気に下ろした。探偵は唖然としたが、すぐに手錠をかけた。すると、新入りは喚きだす。
「そういうアレかプレイなのか!?」
「そうだな。連行プレイの後は取り調べプレイ、その後は裁判プレイだ。で、またその後は刑務所プレイが何年か待っているが、安心しろ。お前の尻穴は綺麗なまま返してやる。」
「うるせー、犯りやがれ!!そうでもしねーと、組織に面目が立たねー!」
そんな自分の趣向と合わないあまりにも身勝手な要求に、とうとう探偵がキレた。
「そんなに言うなら、お前が犯りやがれ!!俺は受け専門なんだ!!」
「なにをー!?」
探偵もズボンをパンツごと脱ぎ去った。これは一体何が起こっているんだ!?さっきまでこの人達は互いのプライドを賭けたリアル鬼ごっこをやっていたはず。それが今やどちらが攻めをやるかで口論している。人は変わってゆくものだと言うけれど、方向性を間違えるとこんなしょーもないことになってしまうのか。
と、そこにベテランの運び屋が戻ってきた。しかも大事な商品である猿を連れたまま。
「やはり心配だ。あの戸惑いも純粋さ故。まだコンビを組んで間もないが、それを放っておくことは俺には無理だな。銃声は聞こえなかったし、隙を突かれて捕まっているかもしれん。急がねば!」
そこに広がっていたのは手錠をかけられ泣きじゃくる新入りと仁王立ちの探偵。しかも、両方とも下半身が丸見えになっているではないか。
「こんの、変態野郎がぁー!!」
ベテランは近くにあったトンカチを全力で投げつけて、柄の部分が探偵のKOUMONに思いっきり刺さった。探偵はあまりのショックに失神してしまった。
大丈夫か?とベテランが声を掛けようとしたが、新入りは探偵に近づいてトンカチを引っこ抜いた。
「何をしている?逃げるぞ。」
「だって先輩がこいつの尻を犯れって・・・」
「え?」
「え?」

